高次脳機能障害について

高次脳機能障害の症状と、その原因(病態生理)

神経疲労
一定の覚醒レベルを維持するための神経活動に必要な酸素とエネルギーが枯渇した状態です。神経ネットワークの部分的な離断により意識・覚醒に係わる担当ニューロンが減少したのが原因です。
自他覚症状としては、眠気、怠さ、ときにいらいらなどがありますが、筋肉疲労である肉体疲労とも気疲れである精神疲労とも違って、どちらかというと当事者本人には自覚しづらい症状です。
ところが、この症状に対して、いかに適切に対処するかが、その後のリハビリ治療予後を左右する大問題であることをNYUのベンイシャイ教授は20年以上の臨床経験から明らかにしてきました。当院もその意思を大切に、リハビリ初期から、重点的にケアを進めています。

注意障害・意欲障害/脱抑制
高次脳機能障害は前頭葉障害です。その初源的バラダイムであるGO/NO-GOパラダイム(行け!/止めとけ!)の失調に、ルリアのいう「言語による行為の促通の障害」が加わったものがこれらの症状です。
「口では言うのに全く動き出さない」とか、「あらゆる場面で注意散漫」とか、逆に「ちょっとしたことでキレて大声や暴力」とか、家族や周りの人か゛大変苦しむ症状です。とはいえ、適切なリハビリで必ず回復が期待できる症状でもあります。

記憶障害
注意障害と緊密にリンクして、高次脳機能障害では記憶の障害がみられます。治療は注意障害のリハビリ、克服にかかっていますが、当事者本人が興味をもてるテーマの記憶保持や、日常生活の多感覚的な記憶再生の補助から訓練を始めます。
高次脳機能障害の症状の中でも最も重要な症状でもありますが、海馬は損傷も受けやすいが同時に神経ネットワークの再生も起こりやすい組織ということで、リハビリにコツが要りますが、最も治療効果を期待できる症状でもあります。

情報処理障害
失語、失行、失認など非前頭葉機能障害の症状とも被りますが、「よく見聞きし分かる」ことが上手くいかなくなった障害として、日常生活の様々な場面で不都合が生じます。上記のリハビリがうまく進むとそれに応じて回復がみられます。

遂行機能障害
物事の段取りを決めたり、優先順位を決めて効率よく作業したり、二つ以上のことを同時にこなす時に、発揮される機能で、就労や就学には欠かせないものです。
狭義には、作動記憶(ワーキングメモリ)と同義ですが、広くは、思考の柔軟性、時間感覚の連続性や、ファイナンシャル・プランニング、人生のビジョン設計なども含みます。リハビリは、こうした複雑な処理をいかに簡略化できるかというスキルの開発にかかっています。そのことで必ず良くなる機能です。

展望記憶障害
遂行機能がだいぶ良くなってきたころに問題になってきます。言われたことを覚えて、一旦忘れて、適切なきっかけで思い出して実行する、つまり未来に実行するイベントをしっかり記憶して、未来に再生して実行するという全てのプロセスが上手く行くことが求められます。
多くのケースで特に就労復帰後に問題になることが多く、「朝、部長と会ったら、「夕方、例の書類見せてね」と言われて、その時は、よ~し!と思ったのにすっかり忘れて家に帰ってきてしまった」、などということになります。
もしくは「必死にそうならないよう脳を過活動にしていくつもの用事を全て一秒たりとも忘れないようにしていて疲れ果てる」といった具合です。
リハビリはメモをいかに活用できるかにかかっています。

時間連続性の障害
高次遂行機能の一部と考えられています。時間・生活に一定の繋がり感をもてるかどうか、記憶がだいぶ良くなっても、記憶のどっちが前で後かが、自然にわかっているのかどうか。そういうことが、高次脳機能障害当事者は「上手くいかなくなった」と、相当に回復した方でも、ほとんどの当事者の方々がおっしゃいます。
リハビリを始めた段階から、回復した将来のこうした問題への対策が求められます。
とはいえ、受傷後もしくは発症後、何年たってもリハビリは可能です。一度、是非、当院にご相談にお見えください。

自己モニタリングの障害
自分の障害が良くわかっているかどうか、結構ものは言うけど、自分のことはからっきしわかっていないというのは、障害なのです。そういう人、周りにもいるよなぁ~というところで、いわゆる健常者の病理にもつながってきますが、実際に高次脳障害当事者の場合、全く気づかないうちに、そのことで、ご自分自身が本当に困った状態に追い込まれて理由が分かりません。
ありありとした日常のリアリティーのリハビリは、当事者グループの中で、暖かい当事者やご家族通しの絆を築いて、安心しながら周りを観察することしかありません。
そのことを通して、「ひとの心がわかる心のリハビリテーション」に繋がっていきます。ある日、霞みが晴れたように、ひとのこころの暖かさに気づき、そして等身大の自分が見えてきます。
涙が溢れるかもしれませんが、ここまで来たら、貴方は完全に無敵なのです。

是非、当院で高次脳機能リハビリテーションを始めましょう!

         高次脳機能障害の治療やリハビリについて